大学生パロディ銀高「サーズデイ」シリーズ
焼肉の日
「はい、今日は何の日ですか！」
「俺の日から、19日、経過」
「…わーパチパチパチパチ」
「フン…」
「外れだよ馬鹿、焼肉の日だ覚えとけ。つう訳で行くしか無いでしょう」
「どこに」
「鈍い奴め。ほら起きて起きて」
「外見てみろよ、台風来てるぞ」
「だから、精力付けようって言ってんの」
「帰り道で飛ばされるから？」
「いやいや。きっと明日休講になるからさあ」
「なら体力使わねえだろ」
「ブー。アパートから出ないでしょ？」
「あ、ああ…」
「ねえ晋助、そゆこと！」
「にんにく辛っ！」
「お前ホイル焼き好きだよな」
「ただし加減が非情に難易度高い」
「そりゃまだ生焼けだろ。明らかに辛そう」
「高杉くんも食べなさいよ」
「口臭くなる」
「だからだよ、もう俺なっちゃってるから！空気読んで一緒に臭くなろ？」
「…取り敢えずもっと焼いとけ」
「ほらね」
「歯型付けたもん戻すな」
「嬉しい？欲しい？」
「うるせえって。う、銀時、既に臭いな…」
「またまたぁ、それが好きな癖に」
「顔、近い」
「照れちゃって困ったもんだ。今日さ、ツイッタ見てたらさ、イラマチオが良いか悪いかって載っててさ」
「あ？」
「何だっけ。アレつまりフェラの奥までバージョンとかって」
「銀時、声、でかい」
「ん、ごめ。でさあ、首絞められていく奴には良いみたいな？する方としては征服欲みたいな？」
「なんかなあ」
「いや…男はやっぱ突き進みたいよね」
「俺は要らねえ」
「良かったあ。俺やってみたいけど、お前にやったら絶対噛まれそうだもん。怖くて出来ない」
「……」
「噛まないでね？」
「……安い方のカルビが美味い」
「残念じゃね？」
「逆だろ」
「銀さんもねえ、ちょっと思った」
「噛まねえよ」
「なに？」
「お前の。や、やってみりゃ良いだろ」
「へっ？ゴキゲンですね。やだ、ますます怖いし。あ、その肉！俺が育ててた奴！」
「訂正。高い方のが美味い」
「どっちよ」
「銀時は？」
「そりゃ最初っからお高い方が美味いなって思ってたよ」
「ほんとかよ…」
「お高いですからね、まだあるよ安い方なら。あ、ホルモンも食べて。残ってんだから」
「お前が食え食え。…マジで苦しいかも」
「じゃ貰うよ？良いのね？いただきー。ん、にんにくも良い感じかな。晋助も臭くなるでしょ？」
「ん、くれくれ。流石に焼けただろ。ほら」
「ありがとん。…っつう、まだ辛い！」
「そうか？…美味い」
「あ、晋助いちクサ」
「もう遅い」
「あはは。良いぞー、いけいけ」
「はー食った食った」
「一人分があの値段ってのは学生思いだ。また行こうぜ」
「ぷ、良いの？」
「なんで」
「生焼けトラップにんにくで見た事無い顔してたぞお前。そんなに辛かったかよ」
「あれは危険だった。お前こそ散々言ってたろ」
「にしてもさあ。かわいそー、ぷっ。まさか次のもにんにくだったとはね」
「玉ねぎの真ん中かと。酷え。にしても焼肉の日の恩恵、特に無かったな」
「無かったねー。残念でした。気晴らしに、アレしてくれるんでしょ」
「アレ？」
「イラマ」
「勘弁してくれ…そんなん今したら、俺にんにく吐く」
「ねぇー止めてよねえー」
「ふ、ククッ」
ばたん。
雨風がいよいよやばくなる前に無事に帰宅完了。
二人とも、傘の間からまだらに濡れた。
それをするかしないかは別として。風呂に入ってから抱き合うのは、ひとまず決定事項ではある。
愛あれど乾くとき
「んな目で見ないでよ。美味しそうだったんだもの」
「すげえ磯」
「優雅に言ってみて」
「シーブリーズ吹き荒らす銀時」
「あー。…あれ使ってんのガチムチ系じゃない？ちょっと俺ら違うでしょ」
「……」
「そんなイメージない？」
「潮の香りが濃いな」
ぶ、ふふ、それはちょっと。
「…そんな上手くないな。った！馬鹿この、うら、うら」
「やめ、くく、く、っおい運転中だから！」
「なはは、脇よわあ。美味いですよ。要る？」
「俺ガム」
「可愛くねえな。へいへい、あーん」
ブラックミントを期待したであろう素直なお口に一匹放り込んでやる。クシャ。
「…ぐ、オイ！」
「ガム無くなっちったよ。はいそのうち癖になるう」
「なんねえよ。糖尿の次は高血圧か銀時」
「失敬な。…ど。美味くない？」
「ん」
「おお。ハイあーん」
ぽり、ぽり。
「はい次」
「ん」
「おっとキミは銀時くんのお口が良いのね。おいでやすう」
ポリ、クシャ。
「しょっぱいのも必要だよね」
「ん」
「あらあらどうしたの。お口閉じようね。唇つやつやだね。素材感ちょっとお前の亀頭に似てるよね」
「き？」
「と、う」
「は？」
「ここと、ここ。似てるよ。色も」
「は…？…変態か！良いから寄越せ」
「何よ。素直に言いなさいよあーんするから食べさせて、って。はい」
「酒欲しくなる」
「キタコレ！嵌るでしょ！人を汚らわしい物みたいに見てた癖にね！このアホたれ。ほらほら、もっと欲しくなるう」
「ビールだな」
「晋ちゃん、欲しいねえ、ほら、おねだ、ぶっ！」
「良いから寄越せ！」
「ってえなクソが！はいもうあげませんー」
「自分で取る」
ガサ。
「取りすぎだろ！」
ボリボリ、シャク。
暫し無言。
ポリ、クシャ。
「…喉乾いたな」
「お前が一気に食い過ぎなだけ」
「乾かねえ？」
「ずっと思ってた」
（ドライブ中に道の駅で買ったニボシ）
抜く暇は無い
「わっ、見てこれやばいやばい」
「どうした」
大漁だったもので、テンション急上昇。
そんな俺に釣られてか、晋助も興味津々で寄ってくる。
しかし、開いた拳の中身を見せると嫌な顔をされた。
何となく弄ってしまうのは男の子の性ですごめんなさい。
「そこまで嫌そうな顔しなくても…。でも分かるでしょ？」
「何が」
「え、やらない？」
「やらない。…しかし随分むしったな」
抜け毛を無言でまじまじ見られると、次第にいたたまれない気持ちになる。
「お前、まずいんじゃねえか」
「え。そ、そんなに？おかしい？」
「銀時、」
首を傾げて顔を覗き込まれる。この野郎は計算済みか。
「でも、」
「ふおっ？」
「流石だな。どこも目立たない」
「てか近いって。ってぇな、もう」
自ら天パを刈り取ったと勘違いされたらしい。
気を取り直して説明すると、もっと嫌な顔をされた。
「なんかさあ、引っ張るとすぐ抜けんだよね」
「…知ってる。だから弄るな」
「ふうん」
「なに？」
「ちゃんと知ってんじゃねえか。どれどれ」
「っく、お、おい！」
「若干猫っ毛な」
「やめろって」
「お気になさらずう。そっちは触らないから、ね。はい残念でした」
「って！」
「ごめん、プチっつった。でも見て、こんだけ」
「な、な…！捨てろよ！早く！」
「大掃除の時期ですからね」
「あっ、……おい！ちょ！」
「すみずみまで点検しないと」
「え？あ…ちょ！」
こうして妙な抗争が勃発した結果、広げたチラシの上に白黒の小さな毛玉が並んだ。
「いやあ、抜けたね」
「トカゲのしっぽみてえだな」
「んんうん？」
「抜けること前提なのか、ってな」
「うん。…うん？」
「痛い。ひりひりする」
「ごめん。俺の抜き方へたくそだったね」
「上手いもくそも」
「俺もさあ、ちょっと、痒い」
「毛根にバイ菌入ったんじゃねえか」
「超ヤヴァイねそれ」
「取り敢えず、洗った方が良いと思う」
「見して」
「やめっ」
じ。一度は上がったジッパーがまた下がる。
「手、貸して」
「嗅ぐなよ」
「うあ！」
「銀時…それ、お前の匂いだからな」
「じゃ、俺の手は……うほっ」
「や、め、ろ！」
「変な気分になる」
「終わりだ！たく、離せって、クソ…」
「ちょっと！ばっちいもん触っちゃったみたいにすんな！そんなんするならねえ…もっかい嗅いでやる……アハン」
「おい！」
必死に止める晋助から身をかわし、自分の手を嗅ぐ。えっちに、匂う。
ちゃんと、俺のとは違う匂い。
「もっかい、なか見せて。お前こそ平気？毛根…」
「要らねえ」
「抜けづらくてブチブチしちゃったよ」
「いや、抜くなよ」
「しちゃうよね。見せて」
「……」
心なしか、ちょっと寂しくなったみたいだ。地肌が赤くなっている。
指先でそっと撫でてあげると、さあ、とパンツの腰ゴムの上に鳥肌が立った。
「ね、パンツさあ」
小さく染みができている。
からかう俺も、実はお揃いの染みを作っている訳だが。
「脱いだほう良くない？」
「抜け毛も酷いし、な」
「お。さすが分かってるねえ！」
ということで。
脱いだパンツは洗濯機に放り込み、仲良く消毒だのなんだのをする次第でございます。