スローセックスしてみよう。
昔使った技について考え出したらもう我慢できなくて、俺は微妙な嘘をついた。
高杉は、語りに流されやすい。
作戦名とか目的とか、尤もらしく話してやると、真偽はともかく話は聞いてくれる。
結局は良い奴なんだよな。
って本人に言ったらこちらの分が悪くなるので口が裂けても言えない。俺だけが知っている攻略法だ。
入るのが遅かれ早かれ、墓まで持って行くと、誓います。
「焦らして焦らして、溜めまくった後に出すの超気持ち良いだろ。今夜はさあ、そんなプレイを全力で推したいの」
更に言うと、俺にも長年溜めまくったものがあってだな。
顔見ちゃうと自信無いから、お茶を入れながら話した。案外すらすらいけたと思う。
何でも無いときの俺、どんな話し方してたっけとか考えながら。
高杉はソファに座り新聞をめくっていた。
目の前に湯呑みを置いてあげると、こくりと頷かれた。どういたしまして。
そうして高杉は、ふうん、と呟いた。
まだか、もう良いだろう。俺にやらせろよ。
やはりぶつくさ言い始めるのをああだこうだと宥めすかし、まずまず作戦は順調だ。
高杉は自分の腕の中に顔を埋め、良い子で時折ヒンヒン小さく鳴いている。
「大丈夫、分かる…俺たぶん分かるよ」
お尻は分かんないけど。
「ジリジリされるの苦し気持ちい、でしょ?ねえ、こういう攻め方、今度俺にもしてね…」
とでも言っとけばどうにかなるでしょうよ。
「ハハ。け、つ…ちゃんと洗えよ」
ええー、そっちか。
「ゆっくり虐められるお馬さんが良いかなあ」
「任せとけ…。銀時、はっ、辛い」
小さく笑った後、高杉は苦しそうな顔をした。
握った手が震えている。俺が言い付けたセルフ禁止を守っているのだ。
苦しいね、焦れったいね。
でもそれが醍醐味な訳だから。じっくり楽しもうぜの回だから、ね。
「そういうアレだから、大丈夫大丈夫。その感じこそ楽しまないとね」
新し物好きを上手く刺激すれば、割と何でもノってくれる男だ。
近年ますます磨きの掛かった銀さんの口八丁をもってすれば打率は悪くない。
正直まだ悩んでいる。どうしてもやってみたいが怒られて信用を失うのも嫌なんだよなあ。
そうね、もうちょい頭も蕩けさせてからだね。
「足すね」
充分潤ってるけどローション追加。
お尻の割れ目が始まる窪みを目掛け、容器から直接垂らす。
ぬる、ぶりゅりゅ、と絞り出されたローションは液溜まりを作った後、重力に従いゆっくり流れていく。
おっと、垂れる垂れる。
本当は身体とか、それこそ穴以外は全然触らない方がそれっぽいかなって控えてたけど、致し方ない。
流れに沿って指先でローションを伸ばすと、埋めたままの方の指がぎゅうっと締め付けられた。
高杉くん、これはマズイね。
指ずぼずぼしたい背骨舐め上げたい後ろから両手で細い首を包んで圧迫して苦しそうな顔させたい。…のを我慢して指をぬるうり、中から引き出し奥へ送り込む。
「ひっ、んぁ。ツベテ」
あらら、取り繕っちゃって。うんうん冷たいねごめんね。
腰回りの筋肉が細かく緊張するのが分かった。
「こっからだんだん強くしてくから。ゆっくりだったから刺激強いかも…。痛かったら言えよ」
「はあ、っは。至れり尽くせりだな」
嬉しそうね。
「気持ちい?」
「大したもんだ」
この調子だ。随分ご機嫌らしい。
「俺も何か、覚えて来ねえとな」
すっかり信じちゃって馬鹿な子。
では腰を高く上げましょうか。
足の付け根に沿って中心から外側に向け撫でると、高杉は自分で腰を上げた。お利口さん。
念のため両手、特に人差し指を重点的に再度ローションたっぷり。これを組んで、人差し指をピンと立てて、ああ1本ずつにするから許してくれ、穴の位置確認、指の爪オーケー、中の潤い絶好調。
行くぜ。
ぐぢゅっ。
「はっ」
ぐっ、と第一関節まで入れると、上も下も高杉の口は可愛く鳴いた。
ごめん、ごめんね。
「カンチョー!!!」
俺は目を閉じ叫んだ。
人差し指はスムーズに突き進み、組んでいる残りの指たちがごつりと肌にぶつかって止まった。
「いぁぁあーーーっ!!!」
少し低くはなったけれど、高杉の悲鳴はあの日とほとんど同じに聞こえた。
違いはと言うと、甘ったれた響きが混じっている事だ。
お前、痛いだけじゃ、無いだろ。
胸が隅々まで潤うのを感じた。
ヤバいっ入れたいっ最高っ!
止められなくて、深い抜き差しを繰り返した。
股間が張り裂けそうだ。
「やぁっ!ぎん、いた、っああ!!い、あああっ!」
銀さんの銀さんと交代させたいけれど、泣き叫ぶような声が癖になる。
手で穿ちながら、入れてる気分で腰も振った。
辛い。実は俺だって苦しいんだよ、我慢が。
「あ、…はぁ、んぁ」
やり過ぎた。
ふと我に返ると、可哀想な高杉は小さくすすり泣きのような声を上げ、不規則に背を震わせていた。
「悪かった」
ぐぢっ。
第一関節まで抜く。俺の手もベッタベタで、ふやけている気がする。これで最後にしてやろう。
外側が会陰に上手く当たるよう意識した。
人差し指は前立腺を擦るように。一気に。
ぐぢゅううっ!くぷっ。
こりゃ派手に鳴ったもんだ。
「…っく」
ぷ、何それ。
志半ばで斬られ無念、みたいな声を漏らし、高杉は秒遅れでがくんと崩れ落ちた。
動かない。けど…息、してるね。
前を触ると半勃ちだ。高杉の腰回りのシーツが冷たい。ぐったりする身体を持ち上げると、ぷんと厭らしく臭う。
お漏らししちゃう程とは恐ろしいぜ、これぞ銀さんの必殺技。
「あ、銀時てめ、覚えて、ろ」
不意に低い声が聞こえたが、それを言い終わった高杉はすぐ腕の中に顔を埋めた。そしてまたぐったり大人しくなった。
流石に可哀想になり放してやった。
目覚めたら怒るだろう。
ペンペンされて凹んでさ、なんてのももう使えないし。
はい。長年の禁忌を破りました。仰る通りです。銀さんが悪うございました。
しょんぼりして見せるイメトレはしておこう。
でも本望です。
お詫びにさ、取り敢えずスローセックスの続き、する?
あっ嘘、ごめん、ごめんって。
いやでも今度こそ本物だから、ね?