お主また隊士を甘やかしたろう。
何の事だ知らねえぞ。
二言目には「良いじゃねえか」と、あれでは困るぞ。
少しお仕置きだ。
あの意味不明な夜から季節は巡り、天人との交渉や国内の要人への根回しに勤しむ内に蟠りなど忘れていた。
変わらず万斉とまた子は仲良くしているようだし働きも良い。
高杉の怯えを他所に、3人の関係性は良好だった。
皆が寝静まる深夜、船内の浴室には2人だけ。
高杉は洗い場の鏡に背を向け、ヒバの風呂いすを跨いで膝立ちである。
腕は、縛り紐で鏡上の照明の根元から吊られている。
紐と言っても身体洗いのナイロン製タオルを長く繋いだもので、万斉の特製だ。
「晋助、拙者が敵だったら?」
「コレ引き千切る。若しくは照明ごとぶっ壊す」
頭上に伸びた腕を揺らして見せる。
ギシギシと照明が嫌な音を立てた。実行するのは簡単そうだ。
顔を顰めて見上げる高杉に大仰に頷いて見せ、にこりと笑いかけてから万斉は釘をさす。
「よろしい。今は、壊すなよ」
それはなかなかの難題だ。
縦に置いた幅だと足の開きが足りないとの事で、高杉の股下の風呂いすは横置きに変更された。
「もう少し腰を上向きにできるか?」
「こうか?」
素直だ。実は遊び好きな可愛い大将なのでござる。
角度を調整すると立ち上がった高杉のペニスは若干下を向き、先端が風呂いすに触れた。
ふむふむ成る程。
「そのまま腰を前後に動かして見ろ」
質の良い木材だから滑らかだろう。平気そうな高杉の表情に物足りなさを感じる。
風呂いすに乗ったペニスをそっと持ち上げ、その隙間に準備してきた薄い布を敷いてみた。
「何だこれ」
眉間にしわを寄せて厳しい顔。分かっている癖に。
「可愛いまた子のおパンティを拝借してきたからに」
「お前は!本当に何考えてるんだ!」
額に青筋が浮かんで、おお怖い。
「大丈夫、生地がザラザラして乙女の柔肌には宜しくないとか。
依ってもう要らないそうでござる。汚しても怒られないぞ」
チッ。
「ダメだ、止め止め!」
んな真似できるか。アレは大切な俺の、さて何だろう。幹部、はこいつも同じだが。どうにも後ろめたい。
膝立ちからさっさと立ち上がる気配を見せる高杉に万斉は焦った。
「まあまあ。また子は拙者の可愛い恋人、晋助は拙者の一生の主人。
然るにこれは拙者も自ら楽しむ奉仕であるからして。
ほら、可愛がってやるからご機嫌直して欲しいでござる。
実を言うと、モゴモゴ、拙者が晋助に奉仕した話は…
また子も喜んで聞いてくれるのであって…」
話しながら握ったペニスを優しく擦り、小さな乳首をきつく吸い上げて獣を宥めた。
「くぅ」
歯を食いしばり天井を見上げて強がる表情に安堵する。
最後の話は聞こえていなかったようだ。それで良かったかもしれない。
己が身のために、要らぬ多弁は避けねば。
シャワーヘッドを取り、湯温を確認する。
舌で乳首から這い上がり、首筋から耳孔を可愛がりながら。
こんな忠臣は他に居らぬと思うがな。
まずはぬるい温度にして、片方の尻肉を斜め上に持ち上げ、穴に当てる。
「オイ。処理はして来たぞ」
「だろうな。良い子でござる。まあ、風邪を引くといけないので」
そのまま背側からシャワーヘッドを股下に差し込み、少しずつ前へ移動させていく。
伏せられた長い睫毛を観察しながら。
と、ここか。1度強く瞼が閉じられたのを見過ごす訳にはいかない。
シャワーの湯量を強くすると首が更に垂れ、獣は熱い息を吐いた。
思わず開かない方の目尻に唇を寄せ、そこから瞼に舌を這わせる。
吊られた手の先がぴくりと震え、軽く握られた。
厭らしい身体をしおって。
シャワーヘッドを短く握り直し、小刻みに前後に揺らす。
今度は健在の方の目元を愛でる。眉下の窪みをなぞると眉間に皺が寄って愛らしい。
ますます虐めたくなってしまうではないか。
腕はどうか?吊られたまま程良い力加減を保つ辛さは想像以上だろうが、流石デキる男である。
二の腕を震わせ、それでもまだ器物損害は起こさない努力が伺えた。
肌が冷えたろうか、どれ。
背中にまんべんなく湯を当て温めてから、シャワーヘッドを操る手を腰に戻した。
少しだけ温度を上げ、湯量をもう一段階強くした。
「アッ!」
片目が見開かれ、溶けた表情でこちらを見上げる。
熱い方が悦いか?
シャワーヘッドを左右に大きめに揺らすと、我慢できないのか自ら腰を前後して見せてくれた。
「ばんさっ、あっ、あつ、ん」
続いて湯で円を描くと、表情はどんどん厭らしくなった。時折ずらし穴にも当ててやると吐息混じりに良く鳴いた。
緩く開かれた口に堪らず吸い付く。見下げる形になるから口蓋に触れやすい。
片手で腰をがしりと抱き、しなやかな身体を固定する。
温度を少し下げ、勢いは強める。
左右に素早く、前後に優しく、ねっとり円を描く。
口蓋と蟻の門渡りを、同じ動きで撫で続けた。
次第に風呂いすを挟む太ももが震え始め、塞いだ唇の向こうから苦しげな呻きが漏れてくる。
舌をきつく吸い上げペニスを握り込み、風呂いすに敷いたまた子の下着に擦り付けてやった。
「ぐ、んぉ、ん、んーっ」
何事か訴えてくる隻眼が濡れているが知った事ではない。
気持ち良いのだろう?
確かにこのおパンティは細かな模様が浮き上がっていて、履いている内に擦れてしまうかもしれない。
だが、
「大将は様々な刺激に慣れておかねばな」
竿を絞り上げながら耳に吸い付いた。
「ヒッ、あ、あぁ」
更に強く下着に押し付けて擦ると、高杉は涙を零しながらその上に精液を吐き出した。
「合格でござる」
何がだ。
「そりゃありがとよ…」
確かに腕は終始大人しく吊られたままで、物も壊さなかったが。
してやろうと万斉は申し出たが、吊り紐から開放された高杉は無言で頭から洗い始めた。
妙な疲労を感じた。汚れたまた子の下着にため息が出る。
そんな彼を横目に、まあ良いかと万斉も己の体を洗う。
ふむ、拙者も気持ちよくさせて貰うつもりだったが。
疲れたようだから許してやるか、仕方ない。
案外真面目な男だからな。扱いはなかなか難しいでござる。
2人並んで冷めかけの湯船に沈むと、高杉は自分の手首に薄っすらと吊り紐の跡を見付けた。
隣の男を責める気は無い。あの小さな布に欲望を吐いてしまった後である。
その事実に妙に落ち込んでいた。
よく見ると手の平には細い凸凹が出来ている。
何だこれは。
数秒見つめて更にため息が出た。
これは、擦られる刺激に感じすぎて、頭上で固く握り拳を作っていたから爪の型が付いたのだ。
「で、何でござったか」
適当な奴めと思ったが、高杉自身も何の流れでこんな遊びになったのか思い出せない。
名目など結局あって無いようなものだ。
「…凸凹した布と、腕や手に変な跡作るのは、まあ、そんなに良くはねえよな」