満員電車で扉の前にハマると意外と楽。快速とか急行とか、しばらく駅をすっ飛ばす系に乗るときは密かに狙うポジションだ。しかし今朝は後ろにヅラがハマっているせいで辛い。俺の背にヅラの腹が密着していて、しかもヅラのヅラは朝からテンションが高いようだ。
このまま脇腹を強めに撫でてくんねえかな。日中にふざけてやられると本気でイラつくが、その気になってる時にされると実は好きなヤツ。…とか考えてたら電車が揺れてマジヤバイ。
俺はヅラほどぶっ壊れたキャラになりたくはないし、何か合った時に自分が品行方正な清く正しい青年に見えるだろうか?というと全く自信がないのでこういった公共の場での強い外的刺激はやめて欲しい。
という訳で満員電車はやはり勘弁だ。
明日は二人とも用事は午後からなのでガッツリしようではないかと(俺が心のなかで勝手に)決めて臨んだ夜だった。
部屋で、風呂場で、また部屋で、で寝落ち。最高ではないか。最後に部屋でした時にちらりと時計を見ると12時前だった。と言うことはこれからゆっくり2時間かけたとしても8時間も確実に眠れる。実に健康的ではないか。
二人で大学に向かう前にブランチとして蕎麦を食べたい。蕎麦湯も大好きだ。今週はしばらく晴れるとニュースも言っていたことだし、そんな爽やかな初夏の日に冷たいもり蕎麦は似合いすぎて困る。冷たい蕎麦の時にしか蕎麦湯を貰えないのは何故だろう。蕎麦と言えば冬の日に食べる鴨南蛮も良い。七味を少し振って…。めんつゆを割るためだけに蕎麦湯だなんて寂しいではないか。俺は温かい鴨南蛮の後だって蕎麦湯ストレートを飲みたい。
ところで、似合いすぎると言うと俺の可愛い高杉晋助に穿かせた薄くつるりとした生地の黒くて浅履きのボクサーショーツだな。いやらしくて愛らしい。どうせすぐまた脱ぐのだが、風呂あがりに体を拭いてそれを穿く晋助を見つめるのはワクワクするものだ。ピタッと肌に吸い付く生地。本当に良いパンツだな。からの、改めまして頂きます。
という実に素晴らしい昨夜があった訳だが、急に格安で狙っていたスタジオの予約アキができたので可能な限りメンバーは集合せよとの電話が朝7時に晋助のスマホにかかってきた。相手は俺的には大分いけ好かないグラサン氏、晋助のバンド仲間、恐らく俺の排除すべき男。 意外と真面目な晋助は、俺の恐れた通り、むすくれながらも承諾してしまった。仕方がないのでしっかり彼氏面をするために連れ立って朝の通勤ラッシュ真っ只中のこの時間に電車に体をねじ込ませた俺こそ、晋助の彼氏・ヅラである。 苦痛と思いきや、いざ乗り込むと晋助の背に腹を密着させ、公認痴漢プレイというラッキー。晋助は恐らく、喜ぶ俺に気付いている。窓に映る顔が赤い。このまま腕を体の前に回し脇腹を撫でてやりたい。くすぐったがる此奴の腰を空いている片方の手で強く固定しておき、手のひら全体をしっかり体に当ててゆっくり強めに撫でるのだ。それをしながら細い首筋を優しく啄んでやり、時々耳もハムハムしてこっそり耳の中に吐息をゆっくりと吹き込む。撫でる手は時々上にずらして胸元も温めやる。この辺で顔を覗き込むと恐らく少し涙目で、スイッチが入っているはずなのに強がって目を逸らすのだがそこを無理やりこちらに顔を向けさせて。
ということをここですると流石に周りから変な目で見られるので我慢が必要だ。やはり満員電車は辛い。